【コラム】キレイをつくる家づくりvol.2内装壁編

今回の「キレイをつくる家づくり」は内装壁材編です。
前回の空調設備編はこちらからどうぞ。

■日本と世界のスタンダードの違い
日本で壁の仕上げといえば9割がビニルクロスです。安価で施工性が良く、色柄も豊富ですし、最近のクオリティーは印刷技術の向上により目を見張るものがあります。各メーカーの新作発表会では、素敵なものを多く目にします。
一方海外ではビニルクロスはそこまでのシェアはなく、自身の好みやライフスタイルに合わせて簡単に好きな色に塗ることができる塗装も比較的多いです。
塗装のデメリットはコストがやや高いこと、下地の精度などによりひび割れが発生しやすいことがあげられますが、仕上がりに対してのチェックが厳しいという日本の国民性が要因となってビニルクロスが主流となってきました。

■ビニルクロス以外にもある壁の仕上げ材
では壁の仕上げ材はビニルクロスの他にどの様なものがあるのでしょうか。上記の壁クロスの中でもビニル素材ではない、「布クロス」や「紙クロス」があります。海外製のものも多く美しいですが、高価でビニルクロスに比べると施工がやや難しく継ぎ目が目立ちやすいことなどがあげられます。
「タイル」は、色柄やテクスチャーも豊富で高級感が出せ、機能性タイルなどは消臭効果などの高いものもあります。
「木製パネル」は天然木のもつ柔らかさを感じることが出来ますが、木材によってはフィトケミカル成分が多く体に合わないケースもあり、天然のものだから安全、という訳ではないので注意が必要です。
また「漆喰」や「珪藻土」などは最近注目されていますが、やはりコストが高い点とひび割れや施工の手間がかかるというデメリットがあります。

■少しずつ広まる漆喰壁
様々な壁材がある中で「キレイをつくる」的視点でお薦めなのは漆喰壁です。漆喰は耐久性、耐火性に優れ、調湿作用もあり、また防菌作用があり空気を浄化してくれます。
漆喰壁の歴史は古く、古代ローマ・ギリシャ時代の建物や日本でも城や土蔵に多く使われており、その実績が漆喰の優れた性能を保証しています。室内の余計な菌から守ってくれるので、酒蔵やワイナリーで使われてきました。
最近では漆喰の代わりに珪藻土が出てきていますが、珪藻土の歴史は浅く、またつなぎに接着剤を多く必要とし、その接着剤に化学物質が使われていることが多い為、健康、美容の観点からはお薦めできません。同様に漆喰は優れているもののメーカーによっては接着剤に化学物質を含むものを使用している場合がありますので注意が必要です。

掲載写真は、先日庭のデザインをさせていただいた神奈川県鵠沼のお宅の建築を担当された株式会社ライフ・ステージさんによる漆喰にこだわった住空間です。

一級建築士/吉田美帆

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